最後に、石岡史蹟保存会の創始者の一人であった今泉義文氏(昭和五十一年十月永眠)の言葉が、写真にみる石岡の昭和史研究会出版部発行の「写真集いしおか昭和の肖像」に四十数年に及ぶ史蹟保存活動を振り返っての言葉として、載っているのでそれを紹介しておきましょう。 『……史跡保存と開発の問題は、現在文化全体にまたがる大きな問題といえましょう。 ……現代のように社会機構が大きくなると開発事業も大きくなり、史跡も簡単にのみこまれてしまうわけです。しかし、よく考えてみると史跡保存は政治以前の、広く文化に対する感覚の問題でしょう。我々の祖先がいままでとにかく伝えてきた文化遺産を考えもなく破壊し去るのは実になさけないことです。開発計画も一寸した配慮で史跡を救うことができるはずですし、また適切な代案が考えられるはずです……。これからの若い人たちには、我々の世代が十分には果たし得なかった面、つまり学術的な究明を強く希望するものです』 ・ひと雨 暖のおと ちえこ
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