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歴史ガイドに同行して(17)      兼平ちえこ  (2010.1)

 

 感 謝            兼平ちえこ

 

 この一年間は、昨年に引き続き「霞ヶ浦・常陸国風土記を歩く会」の皆さんへのご案内箇所をもとに、石岡の歴史を、市民のみなさんとの触れ合いを大切にしながらの取材と、石岡市史(上)、いしおか昭和の肖像、石岡の遺跡、石岡の地名等を参考資料として、出来るだけ短文で分かりやすくを目標にご紹介してきました。

 私にとりましても、お陰様で石岡の歴史について、今までより以上に知識を深める機会を得ることが出来ました。しかし、紙面上では、私の未熟さから、歴史は難しいとの評も多々ありましたし、暖かい応援と励ましも頂きました。

 歴史は語り継がれた部分(仮説も含む)と遺物、遺跡、映像として残っている部分とがありますが、歴史を好んで研究なさっている方々の多方面からの見解の中で、自分なりに納得しての表現になりました。

 先月、四十二号の会報の中で、染谷佐志能神社の起こりについて、ご愛読いただいている方より、ご意見を頂きました。その旨を風の会の皆さんにお話ししたところ、歴史エッセイをお書きになっている打田さんから風の会事務局と私に文書で所感が届きました。それで本号に紙上書簡として掲載して頂きました。

 編集事務局の白井さんには、風の会会報もやっと紙上書簡を交わせるようになったと愉快のステップアップを喜ばれましたが、私も改めて読者の方々の応援に感謝の言葉を献じたいと存じます。

 尚、村上佐志能神社につきましては、先月号の原稿を書く前に、ふるさと風の会の白井さん、打田さん、小林さんと私とで、地元の小松先生にご案内をお願いし伺ってまいりました。一同、神社のたたずまいの荘厳さにすっかり魅了してしまいました。

 小松先生のご説明では、以前は村内外の皆さんで大層なにぎわいを見せていたそうで、特に小学生の遠足シーズンには大勢の子供達が登山を楽しんだのだそうです。また涸れることのない御神水は村の飲料水としてその恵を分け与えてもいたのだそうです。

 山の頂上には、水を湛えた硯の形をした石があり、眺めの素晴らしさは格別とのことでした。しかし、急斜面が多く、足元の不安定な方は大変危険ですとのご注意を受けましたが全員好奇心旺盛。朗読舞俳優の若い小林さんを除いては、足元の心配な三人の為に、一日も若い時期での登山の実現を約束し、後にしました。

 また総社二丁目四番地に鎮座する青屋神社の折には「青屋さんには、大変なご利益を頂いた。是非皆さんにも知って頂きたい」とのお話しも頂いています。このお話は、来年の二月号あたりでご報告出来るかと思います。

 そして、私にとりまして思いもよらなかった出来事が起こりました。

 先月十一月十一日に「霞ヶ浦と石岡の歴史」について講話を頂きたいとのお声を城南公民館羽鳥館長と担当の鈴木様よりかけて頂きました。石岡市歴史ボランティアでのガイドも先輩のご指導を受けながらの未熟さですから到底無理の返事をしましたところ、普段の案内方法で一人でも多くの市民の皆さんが石岡の歴史に興味を抱くきっかけとして是非にと後押しと励ましを頂きました。

 私は平成十三年九月に歴史ボランティアガイド養成講座を受講し、二つほど驚いた事がありました。

 先ず、石岡には古代からの深い歴史のある事、そしてその歴史を知らない市民の皆さんが多い事でした。その当時、私は「ヘタでいい、ヘタがいい」のキャッチフレーズで人気の、絵と一言添えての絵てがみの交流を楽しんでいました。

 手紙は一人対一人の交流ですが、一人対不特定多数の交流で是非市民の皆さんに、絵と一言添えての石岡の歴史を伝えたいという思いを抱いていましたので、何点か描いた中の「歴史の里いしおか、ウオーキングご案内」をもとに講話と言うよりご案内をいたしました。受講の皆さんには稚拙なご案内でお気の毒でした。でも二十人余りの皆さんにお伝え出来たことで、私の夢は実りました。

 羽鳥公民館長、担当の鈴木様のご寛大なお取り計らいで、私にとりまして貴重な体験をさせて頂き、幾重にも感謝申し上げます。有難うございました。

 とかく「歴史には興味がない」という方を見かけますが、耳を傾け、健康増進を兼ねたウオーキングなどで郷土を知り、誇りを持って頂くことは人生を豊かにする事と、お薦めいたします。また小学生、中学生、学舎の地に選んだ高校生の皆さんには是非石岡の歴史を知り、郷土愛を育んで欲しいと思っています。

 講座の後、十一月十五日に、安孫子の野鳥の会の皆さん二十六人への案内人の一人として加わりました。その折、「石岡は、明治・大正・昭和になりますと、商業、醸造、製糸などの産業都市へと成長していきました」との説明後に「現在はどんな産業が…」との質問が飛びかいました。「豊かな自然の中で果物を中心に…」その他の言葉はわかりませんでした。そしてもう一つのご質問は、こんなに歴史があるのですから、遺物など一同にお見せする会館はあるんですか…と。この事は、ガイドをしていて、尋ねていらっしゃる皆さんほとんどからお聞きすることでした。このご時勢にと言われますが、発掘された沢山の遺物、石岡のおまつりでの人形等一同にお見せ出来る会館は、次代に語り伝える為にも、現在の市民の皆さんの英知の結集で果たさなければならない産業ではないでしょうかと強く感じるこの頃でございます。

 一年間のご愛読と応援、誠にありがとうございました。どうぞ悪い風邪に召されませんように、お元気でご越年下さいますように。

 

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